理事長 小林哲朗
5年連続で減少、5年で16%減少
人口動態調査によると、2020年(令和2年)の出生数は2019年から2万4千人減少し、84万人となったことが分かりました。これは2015年から5年連続での減少で、この5年間で16万人余り、率にして16%減少したことになります。一人の女性が一生の間に生む子どもの数の指標とされる合計特殊出生率も5年連続で減少しています。
新型コロナウイルス騒動は出生数に影響を及ぼしているのでしょうか?
それまでも元々減少傾向にありましたが、減少幅が大きくなっているのでしょうか?
日本で新型コロナウイルスの問題が大きく取り上げられるようになったのは2020年の2月頃からなので、産み控えがあった場合にその影響が出てくるのは2020年の末頃からとなりますので、はっきりとしたことはまだ分かりませんが、どちらかと言えばマイナスの方向に働くと思われますので、注意して見ていく必要があります。
この減少傾向は千葉県でも同様となっています。しかも、合計特殊出生率は2019年の全国平均1.36に対して千葉県は1.28と下回り、ここ20年ほどは常に下回る傾向が続いています。
出生数・合計特殊出生率の年次推移(全国)
助産所での出産も減少が続く
助産所での出産数も減少が続いていますが、絶対数が少ないので、減少幅、減少比率はより大きくなっています。私たちの団体ができた2005年には1万人、率で言うと全体の1%が助産所で出産していましたが、15年経った2020年はわずか4,100人、率も0.5%を割り込みました。まさに半減です。
助産所での出産数及び比率の年次推移(全国)
県内助産所の出生数も過去最低
千葉県助産師会の資料によると、2005年の県内の助産所での出産数は309件でした。その後増減がある中、2010年の336件をピークに徐々に減少の方向に向かい、18年は133件、2019年は113件、そして2020年は99件とついに100件を割り込みました。(有床助産所のみ)県内全体に占める割合は0.26%と全国平均を下回ります。この間、それまで長く続けてきた助産所が幾つか閉鎖した一方で、新たな参入がほとんどなかったというのが大きな理由と考えられます。
病院・診療所の偏在はよく指摘されますが、助産所も地域によってかなり差があります。分娩取扱い数が多かったり、全体に占める割合が高かったりして存在感を示してしている所がある一方で、秋田県や富山県のようにゼロという県もあります。一般的には市部は比較的に産む施設がありますが、郡部は少ないので、過疎地域などで助産所が求められる可能性もあります。長野県の東御市には市立助産所があります。