産後支援ステーションははこ庵オープン

千葉市産後ケア事業の家賃補助に関する件

理事長 小林哲朗

若草助産院は家賃補助の対象外

千葉市の産後ケア事業で、令和5年度から産後ケア日帰り型実施のために施設を借りて行う事業所に対し、委託料に賃借分(家賃及び駐車場代)を加算して支払う(上限20万円)ことになったと聞いて喜んでいたら、助産師から、「産後ケア事業担当者の上司という方から、『あなたの施設は家賃加算の対象ではないから見積書を書き直して』と言われてしまいました」と報告を受けた。

担当の上司に理由を聞くと、『補助の対象は産後ケア事業日帰り型をメインで行う場所を借りた場合のみで、しかも新たに借りるところが対象なので若草助産院は対象外です』と言う。それでは、うちが他に施設を借りて補助の申請をすることはできるのかと聞くと、『予定があるなら相談して下さい』と言う。私が対象や申請の具体的な方法を書面で下さいと言うと、書類はないと言う。

「えっ!?」

どういうこと?

担当の上司は更に、『令和5年度は2つの施設への補助が決まっていて、予算の都合で追加はないと』言い、『この2施設には来年度以降も期限無しで補助をすることが決まっている』とまで言うではないか。ここまで来ると、この2施設に補助金を上げることが目的なのではないか。

私が、補助金を上げる施設が決まっていて追加もないのであれば、なぜ見積書の様式の中に家賃補助の項目を入れているのかと聞くと、『こういうこともやっていると、一応皆さんにもお知らせしておいた方がいいと思ったから』だと言うではないか。何か本当に馬鹿にしている。

家賃補助の経緯

そもそも対象は新規と言われた時に変な感じがしていた。今回の家賃補助は、市長が市内で日帰り入院サービスを提供している助産院を訪問したことがきっかけだという話を事前に聞いていた。新規となるとその施設が外れることになり、おかしいなと思ったからだ。新規という言葉は、実際には今ある他の施設を除外するために方便で言ったのではないかと勘ぐってしまう。

ちなみに後で確認したところ、市長が訪問したその施設はやはり補助の対象になっているとのことだった。「新規」という文言は、事業の要綱にも、仕様書にももちろん入っていない。

補助の要項や申請書類はない

私が、書面がないと言うことは、担当の裁量で決めているのかと聞くと、『そんなことはないと』否定する。でも実際にはそうした書類はない。埒が明かないので、うちも新たに別の施設を借りて日帰り入院をやることを検討したいので、補助の概要や申請の様式、フローが分かるものを書面にして渡して下さいと言うと、『少し時間が掛かると』言う。私がどのくらいかと聞くと、『半年くらい先』と返答。思わず、「半年先!?」と声が裏返ってしまった。ひどすぎる。これでは他の施設を意図的に排除していると言われても仕方がない。というより実際には、適当に理由をつけてでも取り繕い、取りあえず例の施設にお金を上げられれば良しという考えなのだろう。

千葉市の産後ケア事業では、訪問、入院、日帰り入院の3種類があり、病院、診療所、助産院が委託契約を結んでサービスを提供しているが、病院・診療所と助産院を比べると、当然ながら施設面でも提供しているサービス面においてもかなり違いがある。これらを一律に家賃補助するのは、確かに正直どうかとは思うが、助産院であれば、助産師と産婦が1対1、または1対2というところがほとんどで施設によって大きな差はない。提供サービスがほぼ同じにもかかわらず、特定の施設にのみ補助を行うというのは、普通は考えられない。市がこんな事をするなんてさすがに考えもしなかった。公平・公正の観点からも到底受け入れられない事案だ。

今回の一連のやり取りで思い出したことがある。10年以上前の話になるけれど、県内にあるI市の保健所の妊婦健診受給券の担当者から通常はない書類の提出を求められたことがある。理由を尋ねると、市の医師会からの要請だという。ということは、その書類を医師会に渡すのかと聞くと、渡さないけれど、言われているから提出してくれと言う。担当者は、医師会に逆らうと仕事ができなくなるからだと堂々と言い放った。

世の中こんなものかという諦めもあるし、こういう人たちとこんなやり取りをすること自体が虚しくて辛いけれど、こういうことを放置していると、本当に日本がどんどん劣化していくという危機感が強い。それは絶対に嫌だ。何とかもう少し頑張りたいと思う。

※若草助産院フェイスブックページに投稿した文章(2023年4月30日、5月2日)を一部修正したものです。