食養指導士 小林哲朗
食料価格の高騰
ロシアのウクライナへの侵略戦争により、小麦やトウモロコシなどの供給不安が起こり、さまざまな食料の国際価格が高騰しています。特にウクライナの場合は、今ある穀物を輸出できないだけでなく、しばらくの間は従来通りの生産がとてもできない状況にあるだけに、これらの食料の国際的な供給不足、価格高騰の状態は長期間続く恐れがあります。それらを輸入している国々、特に発展途上国にとっては深刻な問題です。
日本でも、原油価格の上昇と相まってさまざま食料品の価格が上昇しています。ただ日本の場合で違うのは、主食の米の消費が減少し、供給過剰になっていることです。米の価格はずっと下落傾向にあります。食べる物がないわけじゃないけど、食べたい物の値段がちょっと上がって大変という感じなのです。
日本の農業のこと、世界の食料需給がひっ迫していることを考えれば、本来国は国民に国産食料品、特に米を食べましょうというべきです。今回のロシア・ウクライナの戦争や、8月に中国が日本のEEZ(排他的経済水域)内に弾道ミサイルを撃ち込んだことを考えれば、いつ食料やエネルギーの供給が絶たれてもおかしくない状況です。日本の農業を守り、発展させ、できるだけ食料を自前で確保すると事がいかに大切なことか改めて考える必要があります。
学校給食を米飯に
とは言え、非民主主義国家でもなければ、食べるものの内容を制限したり、強制したりすることはできません。まずは学校給食を米飯にすることです。自給率100%で価格も安い米を食べないで、価格が高騰している小麦を輸入して学校給食でパンを食べるというのは本当に意味が分かりません。かつてアメリカが学校給食を利用して、何年もかけて日本にパンと牛乳を浸透させたように、学校給食を使ってご飯と味噌汁を取り戻さなければいけません。
大人の食事を変えていくことは非常に難しいですし、子どもたちが食べてくれないことには将来的に食料自給率は絶対に上がっていかないわけですから、その第一歩として学校給食を変えていくことは必要不可欠です。この機会を利用して、給食の中身を大きくシフトしていくべきです。