食養指導士 小林哲朗
消費者庁はこれまで8回にわたって検討会を開き検討してきた「食品添加物不使用表示に関するガイドライン」を3月31日に公表しました。これは、これまでメーカーまかせにしていた「無添加」「不使用」の表示に一定の制限を加えようというものです。
ガイドライン作成の背景
原材料表示における食品添加物の表示方法は食品表示法基準にて定められていますが、「無添加」「不使用」の表示については明確な定めがありません。このため、多くのメーカーは商品のイメージを上げるため独自の判断で「合成着色料不使用」「化学調味料無添加」「乳化剤不使用」などといった文言を包装に表記していました。
この結果、表に「無添加」とい書いてある商品を買ったが、後で裏の原材料表示を見たら添加物がたくさん入っていたとか、乳化剤不使用と表記していたが、実際には乳化剤と同様の役割を果たす別の添加物が入っていたというようなケースが起きていました。
本来であれば、原材料表示を見ればいいのですが、値段と味、見た目、賞味期限には関心があるけれど、中身にはこだわらないという消費者が多いので、良く見える所に良いイメージの言葉が書いてある商品が売れることになるのでしょう。そう言えば、有機栽培や無農薬野菜といった表記も勝手に付けていた時代もありました。
現在の食品表示自体に問題が
イメージアップのための詐欺まがいの「無添加」「不使用」表示は論外ですが、現在の食品表示基準では、加工助剤やキャリーオーバーなど表示が免除されるものがたくさんあり、「〇〇無添加」「●●不使用」の表示が商品を選択する際の判断材料になってきたのは確かです。これからの「無添加」「不使用」表示は、何が使われていないのかを具体的に表示するものでなければいけないでしょう。
今回のガイドラインの中身はざっくりとしたもので、実際に表示がどのように変わっていくのかは注視していく必要があるでしょう。また今後は、商品の製造過程において使われた全ての食品添加物を表示する仕組みの導入が不可欠ではないかと考えます。商品自体にその情報を記載するのは現実的ではありませんので、情報はホームページに掲載し、商品にはQRコード等でリンクを貼り付ける形が考えられます。消費者が商品の情報をキチンと得られて、購入する判断基準にできることが何より大切です。