産後支援ステーションははこ庵オープン

食と健康講座「食を通した美と健康」を開催しました

株式会社玄米酵素の赤川さんを講師に迎えて、食と健康講座「食を通した美と健康」を10月19日若草助産院にて開催しました。今回は8名の参加がありました。

今年の夏は全国的に厳しい暑さが続きました。真夏日の日数が過去最高となった観測点がいくつもあり、9月に入ってからも高温の日が何日もありましたが、さすがに彼岸の頃からはだいぶ落ち着き、今はもうすっかり秋らしくなりました。暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったものです。

さて、秋は夏の暑さに疲れた体を癒し、強い紫外線で傷んだ肌をケアして、来たるべき冬に備える大事な時期でもあるということで、今回は美と健康をテーマに取り上げました。美と若さを長く保つためには、体の内と外のケアが不可欠ですが、内側、食の面で考えるべきこと、大切なことについて赤川さんにお話を伺いました。

健康美の大敵「糖化と酸化」

年を重ねるにつれて、肌にシミやしわ、たるみなどが出てくるようになります。いわゆる老化です。老化自体は避けられませんが、年の割に早く老け込む人がいるかと思えば、いつまでも若くて元気な人もいて、個人差が大きいのも確かです。これには遺伝的な要因もありますが、普段の食事や生活習慣のあり方が大きな違いを生むことも分かっています。老化を促進するものとしていま注目されているのが、「糖化」と「酸化」です。

「糖化」とは、糖質とタンパク質が加熱されることで褐色に変化する現象で、AGEs(終末糖化産物)という老化物質が発生します。糖化は食品の調理過程でも、体の中でも起こりますが、人間の体内では体の中の余分な糖分がたんぱく質と結びついて体温で加温されることでAGEsができます。

「酸化」とはモノが酸素と結びつく現象のことで、リンゴの切り口が茶色に変色したり、鉄がサビたりするのはその典型的な例です。人で考えると、私たちは日々呼吸していますが、体内に取り込んだ酸素の一部が通常よりも活性化され、活性酸素というものに変化します。活性酸素は体内でさまざまな成分と反応し、過剰になると細胞に損傷を与えることになりますが、体にも活性酸素を消去する仕組みがあり、常にバランスを取ろうとしています。しかし喫煙や紫外線、偏った食事などで強いストレスがかかると、活性酸素が過剰に発生してそのバランスが崩れ、体内の酸化が進んで老化が促進されることになります。

糖化を抑える

AGEsが増えるのは、体内のタンパク質が糖化するパターンと、AGEsの値が高い食品を食べて、それが体に蓄積するパターンがあります。糖化を抑えるポイントは次の2つです。

  1. 食品由来のAGEsを抑える
  2. 食後の血糖値を抑える

AGEsは、高温調理で増えやすく、同じ食材でも茹でたり蒸したりするのに比べて焼いたり揚げたりするとその値が大幅に増えてしまいます。調理法を気を付けるだけでもAGEsをかなり低く抑えることができます。伝統的な和食では、茹でたり、蒸したりすることが多く、AGEsを増やさないという点でも和食は健康的な食事と言えるでしょう。

食後の血糖値を抑えるためには、食事の際に、野菜や食物繊維の多いものから先に食べるベジファーストや低GI食品を取り入れるというのが有効です。

酸化を抑える

私たちの体には、活性酸素の産生を抑制したり、傷ついた細胞の修復・再生を促したりする力、「抗酸化力」が備わっていますが、この抗酸化力は年とともに低下していきます。このため酸化を抑えるためには、タバコや夜更かし、暴飲暴食など酸化ストレスにを引き起こす生活習慣を改善したり、抗酸化力が高い食品を取り入れたりすることが有効となります。

抗酸化物質の例

ビタミンC野菜、果物、じゃがいも
ビタミンEゴマ、アーモンド、ひまわり油
リコピントマト、スイカ、柿
カテキン緑茶
イソフラボン大豆
エルゴチオネインきのこ

美肌のカギは腸内環境の改善

「顔(皮膚)は内臓の鏡」という言葉があります。腸の調子の善し悪しが肌や顔に現れるという意味です。脂っこいものや甘いものを取り過ぎたりして吹き出物が出来てしまったという経験は誰にでもあるでしょう。いくらスキンケアを十分に行っていても、食事が乱れていては美肌を手に入れることは難しいということです。しかし、逆に言うと腸内環境を改善すれば、自然と肌の調子が良くなるという事です。

腸内には細菌が約1000種類、100兆個も生息していると言われています。腸内環境を良くするためには、この腸内細菌を元気にして、そのバランスを整えることが大切です。それには、腸に良い菌を取ること(プロバイオティクス)と、腸内細菌のエサとなる食品を取ること(プレバイオティクス)がカギとなります。腸内細菌のエサには食物繊維やオリゴ糖、レジスタントスターチなどがあります。

最近は発酵食品が注目を浴び、ぬか漬けや味噌、納豆、ヨーグルトなどから乳酸菌やビフィズス菌を取り入れる人が多くなりましたが、一方で日本人の食物繊維摂取量は減少傾向にあり、中でも穀物からの食物繊維が減っていることが分かっています。日本人はご飯を食べなくなってきているのです!

厚生労働省は、毎日の食事で1日あと5グラム多く食物繊維を取ることを推奨していますが簡単ではありません。お勧めは普段のお米に玄米や雑穀を1割から2割ほど混ぜて炊くことです。これなら炊飯器で白米と同じように炊くことができますし、手間もほとんど掛かりません。玄米は食物繊維が豊富で、代謝に関わるビタミンB群やミネラル、抗酸化物質のフィチン酸などさまざまな有効成分を持つスーパーフードですので、是非一度お試しいただきたいと思います。

食養指導士 小林哲朗