産後支援ステーションははこ庵オープン

お産のオンラインイベントに参加して

若草助産院 助産師 小林昌代

11月3日お産の日の午後は、助産宿という団体が主催するオンラインイベントにパネリストとして参加しました。助産宿の代表は市川にお住まいのかたで自宅出産もされたそうです。その体験がとてもよくて、市川で出産できる助産院がないので地元にもぜひ作りたい!と言うことで助産師との繋がりを持ってほしい。という団体の意向から「どんとこい!助産師」という衝撃的なタイトルでのオンラインイベントでした。

助産師の紹介では、ロンドンで助産師をしている方、巫女さんの格好をしてお産を介助している方、私、助産院で出産したお母さんとそれを支えたお父さんが各15分ずつお話をしました。

私が反したテーマは「なぜ今、助産院出産か?」〜助産院で産むということ〜というテーマでした。自分らしく出産する。それが助産院だけでなく当たり前で行われていいものだ。ということをお伝えしたかったのでこのテーマを選びました。

助産院に来る方の中にこんな姿勢で産めると思いませんでした。という発言をよく聞きます。上を向いて、寝た姿勢でいきむということは、とても不自然なことです。それだけでなく、上を向いて寝ると大きいお腹がお母さんの血管を圧迫して、赤ちゃんへの血流も悪くなります。お母さんのお腹のなかにいる赤ちゃんは、自分で血液を循環したり、肺で呼吸をしていないので、お母さんの血流が悪くなってしまうと酸素が届かなくなって苦しくなってしまうことがあります。自由に動いたり、その方が楽な姿勢をとる。ということは赤ちゃんにとっても血流を妨げることがないため大切なことなのです。

また、骨盤も人それぞれ歪みなどが違うので、いきむときの姿勢も異なります。お産の時に立っていきんでみたら?と声をかけると、立ち上がって夫さんにつかまっていきむ方もいれば、膝立ちでいきむ方もいます。赤ちゃんが生まれる直前は、そりゃあ、もう、出したい!!という気持ちがマックスです。なので、お母さんたちは自分が1番いきみやすい姿勢を自然と取ります。その方が心地よく、1番力が加わるのです。陣痛と共同して効率よくいきむことができれば、赤ちゃんもグッと降りやすくなります。

お産は性的な行為です。正常位だけが心地よいわけではありません、骨盤の状態や膣の位置など、微妙にみんな違うのです。
顔を見ても、目は2つ、鼻は1つ、口は1つでもみんな違うように生殖器も同じです。自分が心地よく産む。それにはまず分娩台を降りること。そして、それができない。と言われたら、できるようにしてください。と声をあげることも大事です。私たち医療者は医療サービスを提供しているので、できないならできるように考えて!とリクエストしていただいていいんですよ。とお話ししました。

女性が主体的に産むお産は夫も変化します。産まれてすぐの赤ちゃんを夫さんに抱いてもらう時、病院では恐々抱いている夫さんを多く見ましたが、立ち会ってお産の擬似体験をすると、すんなり赤ちゃんを抱くことができます。初めて産まれた赤ちゃんを抱くとき「怖い」なんていう言葉は若草では聞いたことがありません。人間も刷り込みがあるのかな?なんて思うくらいです。産まれたての赤ちゃんを自然に抱いて、声をかけ、優しい眼差して包み込んでいる光景は、私たちもほっこりする場面です。助産院のお産は、いえいえ、女性主体のお産はどこでもできるはずです。いや、どこでもできなくてはいけない。女性の権利ですから。自分らしく産む。それが当たり前にできるお産の現場を増やせるように努力していこう。と強く心に感じたいいお産の日のイベントでした。