食養指導士 小林哲朗
春は苦いものを食べよ
「春は苦いものを食べよ」ということわざがあります。苦いものとは、具体的にはおもに山菜を指します。山菜など苦味のあるものはミネラルやファイトケミカルを豊富に含み、冬の眠った体を活動的な体に変えてくれ、また秋から冬の間に溜め込んだ脂肪や老廃物の排出を促してくれると考えられています。
春は肝臓をいたわる季節
古代中国の思想である陰陽説と五行説が合わさって生まれた陰陽五行の考えでは、春は五行の中の「木」に当たり、肝臓・胆のうをいたわる時期と言われています。溜まった脂肪が消費される時に脂肪に溶け込んでいた不要なものや有害な化学物質が放出されますが、それらを解毒分解するのは肝臓の役割です。そのため、肝臓は春にフル稼働の状態になるのでいたわることが必要だと言われるのです。しかも昔は無かった、数え切れないほどたくさんの合成化学物質にさらされて生きている私たち現代人の肝臓はかなり弱っているので、肝臓のケアはより重要となっているのです。
実際、健診時に肝機能に異常が見つかる人は年々増えています。肝臓をいたわるには、アルコールやタバコを控えることはもちろん、早く寝て十分な睡眠を取って休息することが大切です。また食事では、油物や刺激の強いものは控え、十分なタンパク質を取る。肝機能を高めるタウリン、ビタミンC、食物繊維の豊富なものを取ります。タンパク質は納豆や豆腐などの大豆製品や魚から取ります。タウリンはしじみやあさり、タコ、イカなどに含まれています。
春は緑の野菜を
五行にはそれぞれ色が割り当てられており、「木」には青または緑の色が当てはめられています。前述の山菜もそうですが、春は小松菜やほうれん草、春菊など緑色の野菜を取ると良いとされています。