産後支援ステーションははこ庵オープン

平均寿命と健康寿命

理事長 小林哲朗

日本人は長寿の国と言われています。世界各国の平均寿命を比較すると、日本人女性は断トツの世界一、男性もトップクラスを誇っています。この時に使われる指標の平均寿命とは、だいたい何歳くらいまで生きられるかという平均的な年数を表します。これに対して、健康寿命という言葉が最近使われるようになってきました。

健康寿命とは、健康で日常生活を支障なく過ごすことができる期間のことをいいます。平均寿命と健康寿命との差は、日常生活に制限のある「健康ではない期間」、別の言い方をすると「不健康な期間」を意味します。寝たきりになったり、介護を受けたりしている期間ということもできます。単に生きているということと、健康に過ごせているということとは違うということです。

平均寿命と健康寿命の推移

平成22年においてこの差は男性が約9年、女性は約13年あり、世界一大きいと言われています。つまり寝たきり年数ワースト一位ということです。これでは医療費や介護費は増えるばかりです。本人のためにも、医療費・介護費削減のためにも寝たきりの予防は喫緊の課題です。治療から予防への転換です。これには生活習慣の改善が不可欠です。食生活の改善、酒・たばこの節制、睡眠不足、運動不足の解消、ストレスの解消・発散などが挙げられます。

平均寿命と健康寿命の推移(男性)

平均寿命と健康寿命の推移(女性)

沖縄クライシス

先日、東京農業大学名誉教授で発酵学者の小泉武夫さんが講演の中で、いま長寿県として知られた沖縄が大変なことになっていると話していました。女性の平均寿命はまだ全国2位ですが、男性は29位にまで下がっています。(平成22年調査)短期間でこれほど平均寿命が下がるのは、40、50代など比較的若い人が亡くなっているからです。沖縄は戦後すぐから米国に長期間占領されていたので、食生活が本土より数十年早く欧米化しました。日本初のファーストフード店も沖縄にできました。動物性食品の消費量が大きく、野菜の消費量が少ない。車が普及して歩かない。肥満や糖尿病など生活習慣病がとても増えているそうです。

日本人にあった食生活を

他の地域でも、いずれ同様の事が起きてくるのではと懸念されます。日本人はこれまでずっと植物性の食べ物を中心に食べてきた民族です。それがたった50年あまりの間に肉や卵、乳製品などの動物性食品を大量に消費するように変わってしまいました。食生活を短期間にこれ程激変させた民族は世界中で日本だけだと言われています。この影響は、きっと今後さまざまな形で現れてくるでしょう。今こそ日本の伝統的な食生活を改めて見直し、最後まで健康で元気に暮らしていける社会を目指すべきです。理想はピンピンコロリ(PPK)です。