一番多い原材料の産地を表示
少し前から加工食品の食品表示が変わったことにお気付きでしょうか。以前と異なる点はいくつかありますが、一番大きく変わったのは原料原産地名表示です。
これまでは特定の食品群、および特定の品目のみに表示義務がありましたが、全ての加工食品で表示されることになりました。ただし対象となるのは、一番多い原材料のみです。
一番多い原材料が生鮮食品の場合は、その産地が表示されます。一番多い原材料が加工食品の場合は、原則としてその製造地が表示されます。
原材料名 豚肉(アメリカ産、国産)、豚脂肪、・・

例1の場合、豚肉の産地はアメリカと日本でアメリカ産の割合が多いことになります。産地が3か国以上の場合は、例えば豚肉(輸入、国産)、豚肉(輸入)などとなります。
原材料名 小麦粉(国内製造)、発酵種、砂糖

例2の場合、小麦粉の製造が国内で行われたことが分かります。ただし国産の小麦が原料なのか、外国産の小麦が原料なのかは分かりません。
知りたい情報が十分得られない
この表示法を皆さんはどう思いますか。食品表示は、消費者が商品を選ぶ際にに役立つものでなければいけませんが、これでは十分な情報が得られないように思います。
特に問題なのは例2のケースです。一番多い原材料が加工食品であっても、その主原材料の産地を表示すべきではないでしょうか。実際、『小麦粉(小麦(国産))』という表記も可能です。ただし、業界ごとに表示ルールを定めている所もあるようで、メーカーとしてはプラスの情報として本当は記載したいであろう内容のことを、実際には表示していないこともあります。
その場合は、原材料表示以外の場所に「国産小麦のパン」とか「国産小麦を30%使用」とか記載されていることが多いようです。くれぐれも、国内製造は国産原料を意味しないということにご注意ください。
(会報誌「満月」2021年9月号に掲載)