自宅でのお産
日本では、戦後間もない頃まで、お産のほとんどが自宅で行われていました。厚生労働省の人口動態調査によれば、1950年には施設(病院、診療所、助産所)での出産は全体のわずか4.6%に過ぎず、残りの95.4%は自宅又はその他で出産が行われており、それらのお産のほとんどは産婆さんが取り上げていました。

1950年における出生の場所別にみた年次別出生数百分率(厚生労働省人口動態調査より)
自宅分娩から、施設分娩へ
しかし、戦後のGHQの指導により、自宅分娩から、施設分娩への移行が行われ、出産の場所は、短期間で劇的に変化することとなりました。1960年には病院での出産が24.1%、診療所が17.5%、助産所が8.5%、そして自宅などの施設外が49.9%でしたが、1970年には病院での出産が43.3%、診療所が42.1%、助産所が10.6%、そして自宅などの施設外が3.9%となっています。20年で、自宅と施設での出産の割合が、ちょうど逆転したことになります。

出生の場所別にみた年次別出生数百分率(1950~2005年)
戦後しばらくの間まで、お産取り上げの担い手として活躍した産婆の制度は廃止され、代わって制定された保健婦助産婦看護婦法の元で、産婆は助産婦(助産師)としてお産の取り上げを行うことになりました。そして仕事場も自宅から、徐々に病院・診療所へと移っていきました。
それまでは正常産は産婆、異常産は医師という棲み分けができていましたが、医師が全てのお産を管理するようになり、また助産婦(助産師)の教育も行うようになりました。
平成18年(2006年)では、病院での出産が50.9%、診療所が47.9%、助産所が1.0%、自宅などの施設外が0.2%となっています。