現在、小中学校のほとんどで学校給食が実施されています。平均して年間180回ほどの食事が出されていて、子どもたちの食事全体に占める割合はかなり高く、食育という観点からもその影響は少なくありません。
現場の職員や関係者の方々は、子どもたちにできるだけ良いものを提供したいと、さまざまな努力をされていることとは思いますが、自治体の財政問題や、業者や関連団体の利害関係等もあり、実際には改善すべき点がまだまだたくさんあるというのが実状です。
完全米飯給食の実現から
日本の主食は米
学校給食における最大の問題点は、主食であるご飯が出される割合が低いことです。お米は日本の主食であり、数少ない自給率100%の農産物です。しかし一方で、コメ離れが進み、一人当たりのコメの消費量が減り続けているという現状があります。それにも関わらず、学校給食でご飯の割合が6割程度しかないというのは非常におかしな話です。コメ離れに拍車をかけていることは間違いありません。
日本をアメリカの余剰農産物の安定的な供給地にしようという食糧政策に基づいて、政府主導で、パン食が推進されたというのは、よく知られた話です。子どもの頃からパンに慣れれば、大人になってからも、パンを食べるでしょう。結婚して子どもが出来たら、子どもにもパンをあげるでしょう。この方法は非常に上手くいきました。
戦後の学校給食は完全パン食の時代が長く続いた後、1970年代半ばに米飯給食が始まり、徐々にご飯の割合が増えてきました。しかしそれでも、平均ではまだ週に3回程度となっています。(2007年度)主食であるコメが余っているにも関わらず、外国から小麦粉を輸入して学校給食にパンを出すというのは、考えてみれば無茶苦茶な話ですが、それが多くの人に、何の抵抗もなく受け入れられていること自体が非常に問題であると言えます。個人が、家庭で何を食べようと問題はないでしょうが、学校給食はそういうわけにはいきません。学校給食は完全米飯に、そして学校給食からコメの消費を増やしていくことが必要です。
和食の見直しで食生活の改善、健康増進につなげる
日本でも食の欧米化に伴って生活習慣病が増え、子どもにもその予備軍がかなりいるとも言われています。主食をご飯にすると、おかずも和食が中心になります。日本人にあった食事を取り入れることで、子どもたちの健全な心身の育成に寄与することができます。また、伝統的な食文化を継承することで、郷土愛を育むことにもつながることが期待できます。