食育の大切さ

食生活の見直し

「飽食の時代」という言葉に象徴されるように、経済が豊かになり、私たちは、国内はもとより、世界中の至る所の食べ物をいつでも好きなだけ食べることができるようになりました。しかしそのことによって、私たちの食生活が豊かになったのかというと必ずしもそうとは言えません。

生活の多様化、価値観の多様化とも相まって、敗戦後の日本人の食生活は大きく変化しました。主食であるコメの消費が減る一方で、肉類、油脂類の消費量が増えました。魚の消費量は減っています。レトルトや冷凍食品、総菜の需要が増え、外食の回数も増えました。過食による肥満が問題となる一方で、加工食品の取り過ぎによるミネラル分の不足が指摘されています。また若い女性の過度のダイエットも社会問題として取り上げられています。

子どもたちの間にも、欠食や孤食、好きなものばかり食べる偏食などの問題が目立つようになってきていると言われています。こうした食の乱れは、子どもたちの健全な発育の阻害や学習意欲の低下などにつながることが懸念されますし、イライラして切れやすくなる一因にもなるとの指摘もあります。 また、大人だけでなく、子どもたちの間にも生活習慣病、あるいは生活習慣病予備軍が増えていると言われます。

社会が変化し、伝統的な食文化が継承されにくくなった今、私たちの食生活は羅針盤を失ったような状態にあると言えます。当然のことですが、私たちの体は食べ物から作られています。何をどう食べるのかということは、私たち、とりわけ、子どもたちの心身の発達や状態に大きな影響を及ぼします。これまでの食生活を見直し、より良いものにするにはどうしたらいいのか考えることがとても大切です。

食育を通じて子どもたちに身に付けてほしいこと

親から子への世代間の食文化の継承がなくなって、親自身も知らないことが多いのですが、学校や地域、NPOなどの協力も得て、できれば中学生くらいまでに、食の基本的な能力を身に付けることが望ましいでしょう。

伝統的な和食、食文化について知る

  • 和食、郷土料理に親しむ
  • 食事のマナーを知る
  • 食べ物に由来する行事などを知る

基本的な料理を作ることができる

  • 朝ご飯、昼ご飯、夕ご飯の簡単な料理を作ることができる

例えば、
(朝ご飯)ご飯、味噌汁、納豆、目玉焼き
(昼ご飯)うどん、つけ汁、おかず一品
(夕ご飯)ご飯、汁物、おかず二品

食べ物についての基本的な知識を身に付ける

  • 食べ物の旬や食材の選び方
  • 栄養のバランス
  • 食品表示の見方
  • 食中毒への注意

食育基本法

食育の基本となる考え方や、その推進のあり方などを定めた食育基本法が平成17年に制定されました。

(食育基本法前文から)
子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも「食」が重要である。
今、改めて、食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進することが求められている。
もとより、食育はあらゆる世代の国民に必要なものであるが、子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものである。(引用ここまで)

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