助産院開院にあたって

(2006年6月19日)
助産師 小林 昌代

助産院開設へ

お産子育て向上委員会で助産院を開院することになった。当法人としては設立して2年目の一大事業である。それにしても助産院を開設してお産を取り上げようなんてちょっと、大それたことし過ぎじゃないの?と思う人もいるかもしれない。

私個人的にはある助産院のお手伝いをするようになってから、お産がそれまで以上に大好きになり、助産院を開院する夢もその頃から膨らんでいた。でも、まさか自分がこんなに早く助産院の開院に関わることが出来るとは思いも寄らない展開だった。助産院をやりたくて、やりたくて、満月の夜に目を覚まして、月にお願いしたことが実ったのだろうか?いや、この法人に携わったことが、もう助産院への道のりの始まりだったのかもしれない。

タウンミーティング

思い起こせば、この法人の立ち上げのきっかけとなったのはタウンミーティングだ。子育て支援は、いいお産からという提言をさせてもらい、大勢の方から、いろんな力添えも受けたし、また、いいお産や母乳育児について驚くような意見も聞かされた。お産は、子育て支援に関係ないんじゃないの?とか、母乳って言うけど出ない人はかわいそうという意見もタウンミーティングに関わったスタッフの中では多く聞かれ、私が仕事としてきた内容は、巷には正確な情報としては流れていないのだと、唖然としてしまったことを思い出す。そこに集まったスタッフたちは子育て支援に関わる活動や、仕事をしている方がほとんどだったにも関わらず、お産や、母乳育児が子どもと、母親、家族に及ぼす影響がまったく理解されていなかったのだ。それは、作業部会の委員の中でも同じだった。私が助産師として、情熱を傾けていた内容は、巷の人たちにとっては、マイナーな、時期ものの話題に過ぎないと思われていたのだ。このことがあって、しばらくの間ちょっとへこんでしまっていたが、私は今まで何をしてきたのか、これから何をすればいいのかと、改めて考えるいい機会になったのは確かだ。

タウンミーティング開催後も法人となって、いろいろなイベントや勉強会などを開催した。ちょっと頑張り過ぎくらいにやったけど、人が集まり、輪が広がり、いろんな経験をすることが出来た。大変だったけど、楽しかったし、少人数で目を見張るようなチームワークで、力を合わせてやって来ることができた。お産や、母乳育児の良さ、大切さをみんなに伝えたい!という執念とも思える気持ちが、助産院開院につながったのだと感じる。しかし、手放しに喜んでばかりもいられない。お産にはリスクがつきものだから、病院内以外でのお産は、緊急時の対応が充分とはいえないので、それなりの危険も伴う。そのリスクを、病院・診療所からの協力を得て、なるべく低く抑える努力をして、また、サービスを受ける側にもきちんとした、インフォームドコンセントをしなくてはならない。

今後の抱負

この向上委員会の企画する助産院は、安全で、安楽な、気持ちのいいお産を実現するための施設であると同時に、将来的にはお産に主体的に関わりたい助産師がステップアップを図るための機能を果たしたいと考えていますが、まずは自分たちがきちんとしたサービスを提供できるようになることが第一です。ここにくれば、自然なお産と、母乳育児が手に入る、そのコンセプトに応えられるよう、自分も磨かれるように努力していきたい。

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