厚労省と医会の対立
最近何回か、全国紙で看護師の助産行為についての記事が載りました。これは多くの診療所で、内診などの助産行為を、本来行えないはずの看護師が行っている問題のことで、厚生労働省はこれを「はっきり違法」だと言い、日本産婦人科医会は「医師の指示があれば可能」という見解を示しています。
ご存知の方もあるかと思いますが、この事自体はずっと前から行われていたことで、関係者の間では、問題だと指摘する声もありました。しかし、何かあった時でも、それが無資格者の助産行為によって引き起こされたと証明する事はなかなか困難ですし、一般消費者が、そういった事に対する知識をほとんど持っていないということもあり、これまでは表立って大きな問題として取り上げられる事は少なかったように思います。それが、何故いま、大きく扱われているのでしょうか・・・。
これまでは、厚生労働省も日本産婦人科医会も、お互い問題があると思っていても、まあ、仕方がないかという感じがあったのではないかと思うのですが、今回、厚生労働省が「違法」とはっきり言ったことで、日本産婦人科医会が反発し、簡単に収拾がつかない状況になっているように見えます。
背景
実際、一部の施設では、何でも有りの、好き放題な事が行われていて、しかも行政も医会も、これをきちんと管理できないでいます。こうした起こる背景には、消費者が医療機関にお任せで、必要な知識を持っていないということや、医療は生命に直接関わる行為であり、かつ医学や医療技術の進歩は急速であるにも関わらず、医療者の免許が一度取得したらそれっきりで、その後に研修の義務などもないことなどがあると考えられます。
厚労省の今後の動きに注目
日本産婦人科医会も、本来ならば助産師が行うのが望ましいが、助産師を確保するのが難しい現状では止むを得ないという考えのようですが、消費者サイドからすれば、全ての施設が充分な助産師を確保してもらいたいし、足りなければ、速やかに養成して欲しいと考えます。しかし、助産教育全体が大学教育で行う方向に進んでいるということもありますが、助産師養成所の数は年々減ってきているのが現状で、助産師増員という考えは見えません。
ちょうど今、某大型ディスカウントストアで放火と見られる火事で死傷者が出たことが各種メディアで報道されていて、この店は以前から消防法違反を指摘されているにも関わらず、放置していたと行政の人が話していました。この行政の人は、ここはこんな事をしていたんだよと、この店を責めているつもりなのかもしれませんが、普通に考えると、消防上の観点からは、そんなのを放っておいた行政こそ、職務怠慢、或いは監督能力がないということで、責任が問われるのではないでしょうか。同じように、厚生労働省も、違法というからには、そのまま見ているわけにはいかない筈です。当然これに対して、何らかの具体的な対策を取る必要があります。違法であるなら、消費者にも、そのことを周知させて、注意を喚起する義務がある筈です。(できない・・・かな?)
いずれにしても一番大切な事は、消費者自身がこの事についてもっと関心を持つべきだという事です。どんな事でもそうですが、お任せでいて、幸せになれるなんてことは、滅多にないことですから。