病院での自然分娩

(2004年7月10日)
理事長 小林哲朗

自然回帰

これまでの過度な医療の介入や管理に対する反動からか、最近出産に関して、「自然なお産」や「自然分娩」という言葉を時々耳にします。こうした所謂自然回帰の流れは出産の現場に限らず、他の様々な分野で見られることで、現代文明の歪みがもたらすものと言えるかもしれません。

病院における自然分娩

ただ、ここで1つ注意しておきたいのは、病院における「自然分娩」という言葉の意味です。病院-医療現場で「自然分娩」というと、一般的には帝王切開や吸引などの処置(医師や施設によってその内容は多少異なる)を行わない、「経膣分娩」のことを指します。ですから、剃毛や浣腸あり、分娩監視装置を着けっ放し、中には陣痛促進剤を使用しても自然分娩という場合があるのです。

感覚のズレ

こうした自然分娩の定義は、母子の安全を守る事が目的である病院からしてみれば、特にどうという事はないかもしれませんが、普通の人の感覚からするとかなり違和感があります。もともと医療には他のサービス業と違い、お客に快適さや優しさといったものを提供するという考えが欠けている傾向があり、そうしたこともこういう言葉に対する感覚のズレを生む一因となっているのかもしれません。

データ・用語

◆出産場所の比較

統計によると、出産全体の約55%が病院、約44%が診療所、約1%が助産所で行われているそうです。

◆「病院」と「診療所」の違い

「病院」と「診療所」の違いは何か?それはベット数の違いです。20人以上の患者を収容できる施設を「病院」といい、19以下のベットしかない施設を「診療所」といいます。日本では、出産の4割以上が診療所で行われています。

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