産む側主体のお産へ

医療主導のお産が一般的になった理由

かつてはお産は自宅で産婆が取り上げるというのが一般的でした。1948年ごろまでは、約95%の人が自宅で出産し、病院や診療所での出産は5%程度にすぎませんでした。その後GHQの指導により、お産の場所は病院や診療所に移っていくわけですが、その際、それまで正常産をほとんど取り上げたことのなかった医師が正常産を取り上げ始めるとともに、新しく制定された保健婦助産婦看護婦法のもとに、医師主導で助産婦教育が行われることになりました。このこと、すなわち、本来異常に対処すべき医師が、正常産の全てに関わるようになったことが、医療主導のお産が一般的になった大きな理由の一つではないかと考えられます。

医療主導のお産の問題点

産む側が、医療が提供するサービスに対して納得していればあまり問題はありませんが、違和感を覚えたり、不満を感じたりするような場合は注意が必要です。産婦の気持ち、精神面は、時にお産に大きな影響を及ぼします。安心して、ゆったりとした気持ちになることができれば、お産はスムーズに進みますが、逆に、気持ちに引っかかるものがあったり、後悔や不満といった気持ちがあったりすると、なかなかお産が進まないということにもなりかねません。

時々、産科医が「過酷な労働環境のもとに精一杯やっているのに、結果が悪いと訴えられる」と嘆く声を聞くことがありますが、仮に本人が一生懸命であったとしても、産む側と医療者との間に信頼関係がなければ、独り善がりともとられかねません。訴訟を避けるために、さらに医療主導、過剰医療になれば、まさに悪循環です。

産む側主体のお産へ

「お産にリスクはつきものだ」「お産にローリスクはあっても、ノーリスクは無い」といった言葉もあります。100%の結果を出すことはできないということですが、そうであればこそ、結果以外のもの、すなわち産む側の気持ちやお産のプロセスも大事にしなければならない筈です。

医療者だけの問題ではありません。お産が医療主導になるにつれ、産む側も医療者にお任せする意識が強くなっていきました。お産のことをほとんど何も知らずに分娩台に上がる人もいると聞きます。これではいけません。産婦とその家族は、リスクのことも含めて、お産について最低限知ることは当然のことです。そしてその上で、お任せするのではなく、お産に正面から向き合い、医療者の手を借りて乗り越えるという本来の姿を取り戻すことが何より大切です。

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