データから読む(お産)

施設の情報を得て、その中身を吟味することはとても重要なことです。例えば施設にある要望を出して、それが受け入れられたとします。それ自体は嬉しい事かもしれませんが、要望を受け入れることと、それを成し遂げる能力がある事とは別の事であることに注意する必要があります。期待していたのに、結果は散々だったということがないように、実施数などの実績も充分考慮するべきだということになります。

助産師の数

お産の取り上げは、医師または助産師が行います。お産の取り上げを、主に医師が行うのか、或いは助産師が行うのかは、施設によって異なりますが、職員内訳の助産師の数の多いか、少ないかで、大体見当がつきます。助産師が居るのに、お産を取り上げないとしたら、助産師が居る意味があまりないので、通常は助産師の数が多いということは、主に助産師がお産を取り上げているということを意味します。

施設別では、大きな病院ほど助産師が多い傾向があり、診療所の中には助産師が全く居ないところもあります。この場合は、医師が全てのお産を取り上げることになります。

ただ助産師がお産を取り上げるからといって、必ずしも自然なお産になるという訳ではありません。多くの病院では、たとえ正常範囲のお産であっても、助産師は産科医の監督・指示のもとにお産の取り上げを行なっているので、結局、産科医の考え、産科医と助産師の関係で、どういうお産になるかが決まることになります。

スタッフの数と分娩件数

医師と助産師の数に対して、分娩件数が極端に多い施設の場合、自然にゆっくりと待つお産というよりは、早いうちから医療処置を行い、お産をどんどん進めていく傾向が強いということがいえます。 自然に待っていると、どうしても時間がかかり、なかなか数を多く取り上げることはできないからです。この場合、お産を取り上げることができるスタッフ一人当たりの分娩件数が重要で、看護師の数はそれ程関係ありません。看護師はお産を取り上げることができないからです。

一人ぼっちになってしまうことがあるの?

陣痛の時に、スタッフの人手が足りなくて、ナースコールで呼んでも、来てすぐにまた行ってしまうことがあります。初産の方には、思いも寄らないことかもしれませんが、現場の仕事が重なった場合は、スタッフは優先度の高い順に対応しなければいけないので、当然有り得ることなのです。特に夜勤の時間帯は要注意です。

放って置かれるということは、特に問題がないということなので、悪いとばかりは言えないのですが、例え、経過が順調であっても、陣痛で苦しんでいる時に一人ぼっちにされるのはとても辛いものです・・・。

たまたまお産が重なったり、他に緊急の人がいたりするなど、その時の状況にもよりますので一概には言えませんが、自分の経過が順調だったときに、一人ぼっちにされる可能性の高さを見分けるための幾つかチェックポイントがあります。

  1. 勤務体制
  2. 分娩件数と病院の規模
  3. 混合病棟かどうか

勤務体制はどうなっているか

  1. 看護職員について夜勤一人体制か
  2. 夜勤に助産師が入らないことがあるか

要するに、仕事量に対して、スタッフは十分かどうかということです。特に夜勤の勤務体制には注意が必要です。昼間は人が多いけれど、夜は一人という診療所は多いようです。入院されている方がいる時のお産ということになると、赤ちゃんや褥婦のお世話とお産の仕事を全部一人でやるのは実際、かなり大変なことです。また、勤務している人が助産師なのか、看護師なのかということも違いにつながりやすい点です。個人差による差はもちろんありますが、やはり助産師の方がきめ細かいサービスを提供できると言えるでしょう。

分娩件数と病院の規模

  1. 分娩件数が極めて多い
  2. 病院の規模が大きい
  3. 混合病棟かどうか

スタッフがそれなりに居ても、それ以上にお産の数が多かったり、異常の人が多かったりすれば、やはり職員の余裕がなくなります。大学病院や地域の中核病院、或いはNICU(新生児集中治療室)がある施設は必然的にリスクが高い分娩の割合が上がりますし、緊急搬送もあるかもしれません。

出産数の減少で、産科の混合病棟化が進んでいますが、そうすると、産科の業務をやりながら老人介護を行うなどということもあるわけで、当然、少なからず産科のサービスは低下することになるでしょう。呼んでもなかなか来てもらえない、来てもすぐに行ってしまうという可能性も出てくるわけです。

混合病棟かどうか

産科の混合病棟化が進んでいます。混合病棟とは一つの病棟に、二つ以上の科が入っている病棟のことを言います。例えば産科と内科や泌尿器科などが一緒になっている病棟のことです。産婦人科も混合病棟です。

混合病棟にする理由は、ベッドの有効活用です。産科の場合、お産はいつあるか分からないので、集中するときもあれば、かなり余裕があるときもあります。いつあるか分からないこそ、本来は、ある程度余裕を持ってベッドを開けておかなければいけないのですが、病院の経営から見れば、それは好ましいことではありません。少しでも空きベッドを有効に活用しようという考えです。

<混合病棟になって、懸念されること>

◆院内感染の恐れがある

院内感染とは、医療施設において患者がもともとの病気とは別に新たに罹った感染症のことを言います。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの耐性菌やノロウイルスなどの病原体による院内感染がよく知られています。健康な人はそれほど問題ありませんが、免疫力や抵抗力が弱い新生児にとっては、危険です。

混合病棟では、基本的に母子別室になります。

◆ケアが手薄になる恐れがある

混合病棟では、助産師や看護師が、産科以外の科の仕事をしなければいけないので、産科業務に集中しにくくなります。特に夜勤の時間帯は、人手がないので、その傾向が強まります。

分娩件数の質の違い

大きな病院なのに、分娩件数があまり多くないところがある一方で、個人の診療所なのに、ものすごく分娩件数があるところもあります。この違いはいったい何なのでしょう?

まず、一口に分娩件数と言っても、その中身はかなり異なります。大学病院や周産期医療センターなどは、設備が整っていますし、医療スタッフも十分います。こういう所は、妊婦さんが持病を持っていたり、重い中毒症にかかっていたりするなどの、ハイリスク分娩を取り扱うのが本来の機能ですから、難しいケースをたくさん扱うことになり、件数自体は少な目になります。一方で診療所の場合は、ほとんどが、経過が順調なローリスク分娩を取り扱うことになりますので、医療スタッフあたりの分娩件数を増やすことができるのです。

また、大学病院等では、婦人科も併設されていて、お産を取り上げる医師が、婦人科の手術も行う場合が多いので、この点からも分娩ケースが多くならないと言えます。

帝王切開率について

全分娩に対する、帝王切開による分娩の割合を帝王切開率といいますが、日本では15%前後、アメリカでは25%前後と言われています。しかし施設によって、その実施状況にはかなりの差があります。5%前後の施設がある一方で、他方30%近い施設もあります。

ハイリスク分娩が多い大病院の帝王切開率が高いのは当然ですが、診療所や中小規模の病院で、帝王切開率が非常に高いとしたら、安易に帝王切開を行っているのではないかとの懸念も生じます。

また逆子や、前回帝王切開のお産を全例帝王切開にしている施設では、当然、帝王切開率が高くなります。

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