横浜市の産後ケア事業視察報告

横浜市視察

横浜市の産後母子ケアモデル事業の視察に1月16日行ってきました。産後院をつくろう@ちばの4人と千葉市議、それに千葉県議とその連れの方の合計7人が参加しました。

横浜市役所は、JR東日本京浜東北線の根岸線関内駅を降りてすぐのところにあります。千葉から電車で片道1時間半くらいかかり、ちょっとした日帰り旅行になりました。横浜市こども青少年局こども福祉保健部こども家庭課の課長と係長に対応していただきました。

出生の概況

横浜市は、千葉市と同じく政令指定都市ですが、千葉市と比較して、面積で約1.6倍、人口は約3.8倍もあります。年間の出生数は3万人あまりで、そのうち約半数が初めての出産です。市民の意識調査によれば、子どもが生まれる前に赤ちゃんの世話をしたことがない人が半数もいるということでした。また高齢出産の割合は年々増加傾向にあり、出生数の30%が35歳以上での出産となっています。こうした傾向は千葉市でも同様に見られます。

途切れのない妊娠期から産後までの支援

途切れのない妊娠期から産後までの支援横浜市では、途切れのない妊娠期から産後までの支援を目指し、さまざまな取り組みを行っています。妊娠届出時に行う看護師による面談が全ての支援のスタートで、妊娠・出産・育児の支援サービスの情報を提供するとともに、経済的支援の必要性の有無やDVのチェック、育児不安が強いなどの傾向の把握などを行い、その後の支援につなげていきます。助産師や社会福祉職を雇用して、全区役所に配置しているのは全国的にも珍しいというお話でした。

産後母子ケアモデル事業

さて、今回の視察の目的の産後母子ケアモデル事業についてですが、これは来年度からの国のモデル事業に先駆けて、横浜市が独自に行っているもので、昨年の10月にスタートしました。育児不安の解消や児童虐待を予防することを目的とし、対象は、産後4か月未満の母子、親族等から産後の支援を受けられず、親の養育不安があり、安定的な養育が困難と思われる場合です。

ショートステイ、デイケアともに7日以内の利用が可能で、横浜市内の助産所に委託して実施しています。利用者負担額は費用の1割で、ショートステイ1泊2日で6千円、デイケアは1日2千円です。今年度の事業は、半年間の実施で予算総額533万円、利用者数は120人を見込んでいます。

委託先の助産所は8か所で、そのうち7か所は分娩も取り扱っています。分娩を取り扱う施設の状況を見てみると、ベッド数は3床が4施設、6床が2施設、8床が1施設となっており、年間の分娩取扱件数は、20~130くらいと、施設によってかなりの差があります。

質疑応答

担当の職員とのおもなやり取りは以下のようになります。

Q.利用者負担についてですが、負担額が少な過ぎるのではないですか。もう少し負担額を増やして、より多くの人に利用してもらうことは考えないのですか?

そこは悩んでいるところで、もちろんいろいろと考えました。最初は3割負担くらいから考えましたが、料金を上げることで、本当にサービスが必要な人が利用できなくなっては困ると考え、1割負担にしました。

Q.委託先を助産所に限定しているのはなぜですか?

助産所のみに限定しているわけではなく、「助産所等」ということで、医療法に定める医療機関を対象にしています。産後ケア事業を検討する際に神奈川県の助産師会を訪問した時、是非やりたいと言われたのがそもそものきっかけではあります。

Q.ということは、今後は病院や診療所でも行われる可能性がありますか?

こちら側の問題というより、医療機関の側で、感染のリスク管理やハード面でクリアしなければいけないハードルが高いことがそもそもの問題です。また、産後ケアの性格上、ゆったりとしたスペースでお母さん同士が交流したり、くつろいだりできる空間があるかというような課題もあります。

Q.1 泊2 日で6 万円などの料金設定はどうやって決めたのですか?

助産所の産褥入院の料金等を参考にして決めました。

以上

視察を終えて

半年間で利用者120人というと、市内の全出生数の1%にも満たないことになりますので、気軽に利用できるという感じではないようです。実際、職員のお話を伺っていても、利用の対象者はかなり絞っている印象で、利用前には、保健師等が家に行って面接し、本当に支援が必要か確認しているということでした。

私たちが考えていた産後院のイメージとはだいぶ違っている印象がありましたが、職員の方は、横浜市は専門性の高い支援を行うということで医療機関のサービスを提供しているが、産後ケアをどう捉えるかによって、民間ベースや地域の支援者主体など、いろいろな形があり得るのではないかと話されていました。

横浜市は、助産所での出産が全国平均よりかなり高く、助産所の数も多いので、産後ケアを助産所で行うことができるのですが、千葉市では状況がだいぶ違うため、同じような形を取ることはできません。今回の視察を生かして、千葉市にあった産後ケアのあり方はどういうものなのかを改めて考え、行政その他に提案していきたいと考えています。(理事長 小林哲朗)

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