三条市の米飯給食の取り組みについて~学校給食レポート

新潟県三条市は、平成20年4月より市内の小中学校において完全米飯給食を実施してい
ます。この完全米飯実施の実現にあたり、実際に現場で関わり、さまざまな努力されてき
た三条市福祉保健部健康づくり課食育推進室の田村さんに、三条市の取り組みについてお
話を伺いました。

Q.市長宛ての市民からの手紙によって市長が米飯給食に興味を持ったことがきっかけということですが、他にタイミングが良かったと思う点はありますか?

A.おかしな例えですが、昔誰も号令もかけないのに、お酒が全世界で生まれたように、三条市の米飯給食への意識も、様々な場所で点在的、自然発生的に生まれたようです。減反を強いられる稲作農家、アトピー児の保護者、行政の担当者。そこへ市のトップが興味を持ち、理解し、点がつながって、線、面になったわけです。ある意味では時代の流れです。

Q.完全米飯にするにあたり、保護者への説明を行い、概ね理解を得たとありましたが、どういう説明が一番有効だったとお考えですか?

A.合併により、三条市は町と村と一緒になり、米飯給食も拡大することになりました。
その時、町出身のお母さんが「米飯給食は大きな三条市の取組を小さな町や村の私たち
に押し付けるということか!」と、反発されました。そこで私は、「この取組は子どもたちの未来の健康にとって良い取組だから行います。もし、みなさんの町や村で行っていたなら、市である三条市が真似すべき取組であり、自治体の大小ではありません。」と、答えました。お母さんは納得されました。つまり、子どもの健康を第一の理由にしたところが理解を得られたポイントだと考えています。

Q.米の消費が減るほど病気が増えていると言われていましたが、具体的なデータがありましたら教えて頂けないでしょうか?

A.米の年間消費は、国レベルでも、県レベルでも減少しています。データはありませんが、たぶん、市町村レベルでも減っています。それに比べ、脂質異常症(高コレステロール血症)、高血圧、糖尿病肥満症、骨粗しょう症…等、生活習慣病と名のつく病気は全て増加しています。なるべく皆さんの住む地域のデータが使いやすいと思います。

Q.千葉県でもお米の生産は盛んに行われている地区はあるのですが、学校給食に卸すと、米の単価が下がるので嫌だと言う声があると聞いていますが、三条市では、農家の方々の反応はどうでしたか?

A.三条市は平成元年から地元産のコシヒカリを使用しています。当時の一般米は等級も銘柄も低く安価だったため高価な地元産米との差額を市と農協で負担しました。そのため、保護者の給食費の値上げはありませんでした。また、パンや麺をご飯に切り替える際は、自前の給食施設で炊飯できれば米代だけの負担で済み、
安価になります。しかし、委託炊飯ですとご飯を購入することになり、高価になります。
三条市の場合は後者でしたので、差額を市が負担しています。現在、お米の一部(20%)は有機栽培米です。これは有機の生産者が子ども達に食べさせたいという願いであり、比較的安価に納品されていますが、それでも一般米との差額は市が負担しています。

Q.栄養師仲間の理解を得るのに時間が掛かったと言われていましたが、どのように説明をしたら理解を得られたのですか?

A.私たちが日本人であり、日本人の主食はお米だという基本です。消化吸収の観点から、米粒のご飯と小麦粉のパン(麺)では血糖値の上昇に大きな違いがあり、長い間(米)粒食を主食にしてきた日本人には粉食を主食にすることが不向きな体になっています。給食が子どもにとって食育であるなら、一番良い物を提供すべきということです。子どもが飽きることを心配しますが、子どもはおいしければ食べます。現に保育所は毎日ごはん持参の給食です。残食は殆どありません。

(会報誌「満月」2011年11月号に掲載)

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