学校給食の完全米飯化を推進するにあたって考えるべきこと

理事長 小林 哲朗

完全米飯化は食文化の押し付けなのか?

色々な所で、「学校給食を完全米飯にしたい」と言っていると、「そうだね、日本人はやっぱりコメだね」とか「そうすれば食料自給率も上がるね」などといった肯定的な意見を聞く一方で、「そこまでしなくても、今のままで良いんじゃないの」、「自由に色々なものを食べさせた方が良いんじゃないの」といった否定的な意見の方も少なくありません。「日本にも色々な国の人が居るから」、「押し付けは良くない」という意見もよく耳にします。

日本の主食はコメで、自給率の低い我が国にとって、数少ない自給率100%の農産物です。学校給食にご飯を出すことは至極当たり前のことの筈です。ところが、実際にはそうなっていない。学校給食の完全米飯化の話で一番問題なのは、そもそも「学校給食を完全米飯にしたい」などと言わなければいけない状況があるということです。

パンやパスタが主食の国で、子ども達に色々なものをバランスよく食べさせたいからと、米を輸入して週に2回学校給食にご飯を出すと言ったら、さぞかし、おかしく聞こえるでしょう。繰り返しますが、日本の学校給食にご飯を出すことは当たり前のことで、押し付けられているのは、ご飯ではなく、パンなのです。しかし、前述したように学校給食を米飯化することに違和感を覚える人達は少なくないのです。これは一体どういうことなのでしょうか。

これは一つには、パンがもう私たちの食生活に完全に定着していることとも関係があると思います。一人当たりの米の消費量が減る一方で、パンの消費量は増えています。特に、簡単・便利・手軽などの理由で、朝食はパンという人はかなりいます。

こんなふうにパンが定着したのは、目に見える形で高圧的に強要されたのではなく、学校給食を通じて、子どもの頃からパンに慣らされてきた影響も大きかったと思います。「日本の主食はコメだから」とか、「日本の伝統的な食文化を継承する」とか言うのは、ある意味当たり前のことですが、そうやって、数十年かけて徐々に浸透していったパン食という文化を、形としては、力ずくでひっくり返そうとすることになり、逆に周りの人の反感を買ってしまい、簡単には受け入れられていないというのが実際ではないかと思っています。何が正論かというより、何であれ、一度定着したものを変えようとするのは大変だということです。

私が学校給食のことを考えるようになったのは、小学校を卒業してから30年近く経ってからです。キッカケは、その当時嫌いだった、生の食パンにマーガリンとジャムをつけて食べる給食を、自分の子どもも食べていることを知ったことでした。何十年もあんなものを出し続けていたのかと、正直、ガッカリしました。本気で変えようとしないと、変わらないのです。何十年も続いてきたものを、今更何をと言う人もいます。しかし、日本人には、やっぱりコメしかないのだから、このまま放っておくわけには行きません。今は押し付けと感じる人がいたとしても、変えていかなければいけないのです。

(2010年5月12日)


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