給食のパンをごはんに-食育はごはん食から

理事長  小林 哲朗

学校給食とパン

子供が学校に行くようになってから、学校給食について、改めて考えるようになりました。といっても、給食費の滞納の話ではなく、その中身、とりわけ、パン食についてです。当たり前の話ですが、和食は日本人の食事の基本です。その和食の中心は、何といってもごはんです。主食ですから。それなのに、学校という、教育の場で、なぜこれ程までにパン食が多いのでしょうか。食育の観点から言っても、非常におかしな話ではないでしょうか。

私自身が給食を食べていたのは、今から30年も前のことです。その頃は、ちょうど、コメの過剰生産で在庫が増大したために、減反が始まった時期でしたが、それでも、給食は基本的に、パン食で、うどんが時々出るという感じでした。給食全般に対する印象は、まずくて、食べられず、残すということもありませんでしたが、おいしかったという感じもありませんでした。ただ、コッペパンや、生の食パンにマーガリンやジャムをつけて食べるのだけは、さすがに美味しくなくて、嫌でした。確か、4、5年生の時だったと思うのですが、ごはん給食が始まって、月に、1、2回はごはんが出るようになり、すごくうれしく思ったことを今でも覚えています。

個人が家でパンやパスタをいくら食べても構わないでしょう。しかし、コメが不足しているどころか、供給過剰なのに、学校の給食に国の主食コメを出さないなんて、本当に変な話です。今は、その頃に比べれば、ごはんの割合は、ずいぶんと増えましたが、それでも、私の子どもの学校では、18年度は、パンの出る割合が、30~40%前後もありました。コメの消費量が減り、減反までしているのに、なぜ、小麦粉を輸入してまで、給食に、パンを出すのでしょうか。

パン食のはじまり

日本をアメリカの余剰農産物の安定的な供給地にしようという食糧政策に基づいて、政府主導で、パン食が推進されたというのは、よく知られた話です。子どもの頃からパンに慣れれば、大人になってからも、パンを食べるでしょう。結婚して子供が出来たら、子供にもパンをあげるでしょう。この方法は非常に上手くいきました。そしてまた、主食が変われば、当然副食も変わります。日本の食卓は、だんだんと、欧米化していきました。日本人の食事が変わった要因は、いろいろあるでしょうが、やはり給食も、その大きな一つだと、私は考えています。

学校給食をごはん食に

さて、そうした経緯はともかくとして、地産地消などといったスローガンが叫ばれている今でも、給食のパンをやめて、ごはんに替えることは、難しいことなのでしょうか。大義名分は十分にあるはずですが・・・。

もともと、私は、学校給食が必要不可欠のものだと考えているわけではありません。子供の食は、基本的に家庭が責任を持つべきだと考えていますし、国内はもとより、外国からもお金をかけて食材を集め、その結果として、毎回大量の残飯が出していることも考えると、食費の滞納で今以上に食事の質を落としてまで維持しなければならないものだとはとても思えません。ただ、実際に給食をやめたり、お弁当との選択制にしたりするのはかなり大変なことだと考えられますから、それよりも、まず先に、その中身を改善する努力をした方が賢明だと考えています。

私は、学校給食をごはん食にすることは、あらゆる食育の提案の中でも、極めて簡単に、コストをかけずに、効果を上げられる、最も効果的なものの一つだと考えています。主食がごはんになれば、おかずも和食が見直されるでしょうから、その波及効果も大きいはずです。おそらく、学校給食をごはん食にすることについて、正面切って、反対する人は、それ程多くないのではないかと思います。地産地消といったことが注目されている今こそ、是非、これを実現したいと思っています。

(2007年3月25日)

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