母乳育児支援について考えること

助産師 小林昌代

10月に中央区のきぼーる内にある子育て支援館に「母乳育児~なんでも話そう~」というテーマでお話ししてきました。参加して下さった方は、11名で、産後1か月~3か月くらいの方もいましたが、1歳過ぎのお子さんを持つ方が多く、卒乳に関しての質問が多かったです。

母乳育児講座というと3か月~6か月くらいの方が今までは多いような印象がありましたが、半数以上が1歳過ぎていることがちょっと驚きでした。その時期の母乳相談となると、卒乳の時期、本当におっぱいをやめられるのか、卒乳後のおっぱいはどうしたらいいか、などの質問です。まあ、産婆魂が燃えるような、その質問!待っていました!!という良くある質問なのですが、母乳の講座を行うと、いつも同じ質問をされるのが気になります。昨今は母乳育児に関してとてもいい本なども出ており、またネットでもたくさん情報があるのですが、こんなに何年も、毎回毎回間違いなくされる質問に、その情報は、現場のお母さん達にとどいているのかなと考えてしまいます。

母乳育児講座で、1歳以降のお子さんを持つお母さんのからは、おっぱいをやめる時期や、やめる方法についての質問が多く、卒乳というより断乳の仕方が気になるようでした。今は卒乳という言葉もあり、お子さんがやめるというまで上げてもいいのですよと話すと、「ご飯を食べない」「おっぱいを飲まないと寝ないから親からもうやめた方がいいといわれた」「栄養が足りていないのではないか」「いつでもおっぱいなのでこのまま辞められるのか心配」というような意見が聞かれました。これも良くある質問ですが、なかでも子どもがご飯を食べないと困っているお母さんが多いことは現場にいる私も実感しています。

平成17年の乳幼児栄養調査では、授乳や食事について不安な時期は出産直後をピークに減少して4~6か月で再び増加し、1才前後で高くなる傾向を示したと書かれています。考察では離乳食開始時期での不安がうかがわれたとあり、1歳6か月で離乳食を進めるうえで不安もあるため断乳を考えるお母さんが増えるのかもしれないと考えられます。そこで、ざっとですが、インターネットで卒乳についいて検索してみたところ、1歳6か月で母乳をやめる子が多いですと書かれているものが多く目立ちました。同調査では子どもの離乳食や食事で困っていることについても質問していて、困ったことでは、「食べ物の種類が偏っている」「作るのが苦痛・面倒」と感じているのが4人に1人の割合でいて、10年前に比べ、「食事で困っていることはない」とするものが減少していると報告されています。また、食事の内容ですが、ほぼ毎日食べているものは穀類、ついで牛乳、乳製品の順に高率。毎日摂取することが望ましい野菜や果物については、毎日食べない子どもが野菜で4割、果物で6割を占めほとんど食べない子どもも見られると書かれていました。

私達が開催した食育講演会では、講師の幕内秀夫さんは「子どもはカロリーの低い野菜は食べない。ピーマンやセロリーのような緑の野菜は特に食べない」という話をしていました。すっぱいものや苦いと感じるものは腐ったものを食べない様にする防衛本能であり、ご飯を中心とした穀物類とさつまいもなどのカロリーの高い野菜を好むと話していました。幕内さんは、子どもが野菜をあまり食べなくても偏食とは言えない。子どもは自分に必要なものを知っていると話します。このことから考えると、子どもはありのままの姿なのに、大人の栄養学が子どもとのずれを生じさせ、混乱が起きているのではないかと感じます。牛乳などのを飲ませたら、それだけでお腹がいっぱいになり、肝心な食事ができなくなってしまいます。

日本母乳の会では、以前は母乳栄養をしているお母さんの中でやめる時期が一番多いのは2歳だといっていました。現在の調査結果がどうなっているかわかりませんが、もし、このような間違いの中で断乳の時期が早まっているのなら、母乳育児支援をしている立場からは考えなくてはいけない問題だと思います。

同調査では、母乳栄養の割合は0か月48.6%ですが、5か月になると母乳栄養児は35.9%。混合栄養28.5%、人工栄養35.6%になると調査されています。ところが、平成22年乳幼児身体発育調査の結果では、母乳栄養の割合は、1~2か月51.8%、4~5か月55.8%とかなり母乳栄養の子が増えてきていることがわかりました。母乳育児の良さが認められいろいろな施設で母乳育児を推進していることはとてもうれしい事ですが、実際に現場のお母さん方には情報が届いていないこと、また間違った栄養学で子どもやお母さんが悩んでいる可能性があると考えられます。このことから、妊娠中、出産直後、6か月、1年~1年6か月を重要視した、身近で一貫した、ある程度長期的な母乳育児のサポートが必要なのではないかと考えています。

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