増える帝王切開による出産

帝王切開実施率の推移

15年で1.5倍に増加

帝王切開での出産が増えています。厚生労働省の統計によりますと、出産件数に占める帝王切開の割合は平成23年9月調査で19.2%でした。平成8年9月には12.6%だったので、15年で約1.5倍に増加していることになります。診療所では、主にリスクの低い妊娠の管理を行うので、帝王切開による出産の割合は15年で3.7ポイント増で、まだ十数パーセントにとどまっていますが、よりリスクの高い出産を扱う病院では、9.4ポイント増の24.1%で、約4人に1人が帝王切開で出産しています。

厚生労働省 医療施設調査より(分娩件数は各年9月の数)

帝王切開が増えている理由

帝王切開による出産が増えている主な理由としては、女性の結婚年齢が高くなったことで、35歳以上のいわゆる高齢初産が増え、合併症を抱えるなどリスクの高い妊娠が増えていることや、不妊治療による多胎妊娠が増えてきていること、医療技術の進歩で、帝王切開による出産のリスクが以前より低くなったことが挙げられます。

その他、骨盤位(逆子)や双子など、以前は経膣分娩を試みていたケースも、医療事故による訴訟リスクを避けるなどの理由から、安全を優先して帝王切開を選択するようになってきたことや、帝王切開の既往がある場合、次の出産も帝王切開にすることが一般的になってきたこと、妊婦の側に帝王切開に対する抵抗感が少なくなってきたことなども挙げられます。

病院の規模別による比較

病院での帝王切開による出産の割合を規模別で詳しく見てみると、表のようになります。900床を超える規模の大きな病院は、周産期母子医療センターや大学病院など地域の核となる三次医療機関であり、ハイ
リスクの出産を扱うことが当然多くなりますが、帝王切開の割合が35%を超えており、3人に1人は帝王切開で出産していることになります。

病院における帝王切開術の割合(規模別)
  平成8年 平成11年 平成14年 平成17年 平成20年 平成23年
20~49床 10.0% 11.7% 13.2% 15.9% 15.5% 16.3%
50~99床 11.7% 14.0% 13.3% 15.2% 17.7% 17.7%
100~149床 15.4% 16.7% 16.9% 18.3% 21.2% 20.6%
150~199床 12.5% 17.1% 15.5% 17.1% 16.6% 18.3%
200~299床 13.9% 16.5% 16.6% 20.3% 19.1% 20.5%
300~399床 15.9% 18.2% 17.8% 20.1% 21.3% 22.2%
400~499床 14.5% 17.4% 17.8% 22.7% 23.6% 25.9%
500~599床 15.9% 20.2% 21.1% 24.7% 26.3% 26.9%
600~699床 17.1% 20.5% 231.3% 24.2% 30.8% 29.3%
700~799床 18.7% 20.7% 21.1% 27.1% 28.9% 32.1%
800~899床 20.2% 24.2% 26.2% 28.7% 27.8% 31.5%
900床以上 21.0% 22.5% 27.0% 33.2% 36.0% 35.5%
全体 14.7% 17.4% 17.9% 21.4% 23.3% 24.1%
厚生労働省 医療施設調査より

帝王切開術の診療報酬の推移

一方で、帝王切開術の診療報酬保険点数の年次推移を見てみると、約15年で緊急帝王切開は2倍、選択帝王切開は2.6倍にも増加していることがわかります。前述した理由とも併せて考えると、経膣分娩にするか、それとも帝王切開にするか迷った時に、医療者側からすると、帝王切開を避ける理由がなくなってきているともいえるわけで、今後ますます帝王切開での出産が増えていく可能性は高いといえます。

帝王切開の診療報酬保険点数の年次推移

厚生労働省 社会医療診療行為別調査より

今後の課題

リスクが減少したとはいえ、帝王切開が母体に大きな負担を与えることには変わりがありません。このまま放っておいて、帝王切開の割合が増加し続けることは決して好ましいことではありません。

食事や生活習慣を見直すことで病気を予防したり、女性が若いうちに妊娠・出産しやすい社会環境を整備したりすることで、帝王切開を減らす努力をすることが大切だといえます。(哲)

(会報誌「満月」2013年9月号に掲載)

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