助産所に対する妊健料補助の契約をめぐる問題について

理事長 小林 哲朗

昨年の10月、市川市の保健所より若草助産院に電話があり、市川市在住の妊婦さんが若草助産院で出産予定のため妊婦健診に通っているので、若草助産院と妊婦健診料補助金支給の契約を結びたいとの申し出がありました。

県内の多くの自治体は、妊婦健診料の補助を行う場合、社団法人千葉県医師会、および社団法人千葉県助産師会と一括契約し、ちば保健予防財団を通じて、各分娩施設へ補助金の支給を行っていますが、市川市は千葉県医師会とは契約していますが、千葉県助産師会とは契約していません。

この場合、自治体は各助産所と個別に契約を結ぶ必要があります。以前は習志野市なども助産所と個別に契約を結んでいましたが、その後一括契約に加わっており、現在ではこうした自治体はごく限られたところになっています。

以下は助産院の責任者の助産師と市川市の担当者とのやり取りです。
助産師が担当者に、一括契約しない理由を尋ねたところ、市川市の医師会が助産所との契約に反対しているためということでした。さらに担当者は、今回若草助産院との契約にあたり、嘱託医との契約書の写しを提出するように求めてきました。他の自治体との契約ではそのようなことは一度も言われたことがなかったのでその理由を尋ねると、市川市の医師会が、嘱託医のいない助産所とは契約するなと言っているからだと言います。

助産師が、嘱託医のいない有床の助産所は無いことを説明し、それでも嘱託医のことを確認したいのであれば、助産所の開設を許可している千葉市保健所に問い合わせれば良いと言っても、医師会が嘱託医との契約書の写しを提出させるように言っているからダメだの一点張りです。

助産師が、そこまで言うということは、その写しを医師会に提出するということなのかと聞くと、担当者は、いやそうではなく、こちらで保管しておくだけだと言います。いったい何のために?

嘱託医との契約書はそのような用途に使うものではないことを説明した上で、行政が民間の一団体の意向に沿うように、本来とは異なる手続きを付け加えるなどと言うのはおかしいのではないかと指摘しても、担当者は医師会ににらまれると仕事ができなくなるからと悪びれることもなく言いました。

市川市の担当者と助産師との話は、「契約書の写しを提出してくれ」、「いや提出できない」という押し問答になり、らちが明かなくなりました。結局、責任者の助産師の判断で、嘱託医の同意があれば写しを提出するという話になり、嘱託医がこれに応じたため、写しを提出することになりました。今回は市川市の要請に応じた形となったため、この問題は一応決着しましたが、非常に後味の悪い形になってしまったというのが率直な感想です。

この件に関して、私たちは市川市の医師会に事の真偽の確認をしていません。あくまでも市川市の担当者から伝え聞いたに過ぎません。というよりも、そもそもこの件については、市川市の医師会がどう考え、どう言っているかということはさほど問題ではありません。地域の医師会が助産所を嫌っているという事自体は特に珍しい話ではありません。問題は市川市の対応です。有力な団体に圧力をかけられると、それに簡単になびいてしまうというのでは、公平・中立の意識が欠落していると言わざるを得ません。

今回のことはある意味小さい事かもしれませんが、この事から言えるのは、こうしたことは決して特別なことではなく、間違いなく、いろいろな場面で起こっているだろうということです。そうしてそれらの事は、何か問題になるまでずっと続くことになるのです。

我々は、市川市に対しては、こうした対応の改善を求めていくつもりですし、今後他の場面で同じような問題が起きた場合も、きちんと指摘し、抗議していく姿勢を持っていくことが大切だと考えています。

(会報誌「満月」2012年1・2月号に掲載)

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