妊娠中の体つくり

助産師  小林 昌代

妊娠中の体つくりで一番大切だと考えているのは、その方が健康であると言うことです。私たちは、妊娠中に見られやすい、便秘や、冷え性、腰痛、こむらがえりなどというマイナートラブルがない状態を目指しています。簡単に言えば、出るものが出て、おいしくご飯が食べられて、快適に日常生活を送ることができると言うことだと考えます。

そのために、参考にしているのが、新潟大学大学院医学部教授で医師の安保徹さんの体温免疫力です。この方法を簡単に言うと、東洋医学でよくないと言われているが「冷え」という状態は、体の中でどのような変化を起こしているのかを、医師の安保さんが研究したもので、その理論から言うと、体温の変化により、体の免疫機能の白血球の割合に変化が生じて免疫機能に影響を及ぼしているという事だそうです。

そして、その体温の調節を行っている司令塔が自律神経で、自律神経が乱れることにより、交感神経と副交感神経の調節がうまくいかなくなり、体温低下が起きて、免疫力も下がってしまうと言う理論です。

交感神経とは、大雑把に言うと日中活動するときに優位になる神経で、活動的に行動できるよう心拍数を上げたりしている神経です。また、副交感神経は、夜にリラックスしたときに働く神経で、消化を良くしたり心拍数を下げたりする神経を言います。

安保医師は、妊婦と免疫と言う題目でも研究していて、妊婦は交感神経が優位になるようにできていると言っています。妊娠していること、環境の変化などにより多くのストレスに妊婦さんは知らず知らずにさらされて、それだけでも交感神経が優位になってしまう可能性のあるため、若草助産院では妊婦健診でも、妊婦さんとよくお話ししながら、温灸やオイルなどで、力が抜けてリラックスできるような状態に持っていこうとしています。もちろん、リラックスだけを提供するのではなく、ご本人さんのお体を見せていただき、その方の健康に不安がありそうなところを改善して行くべくケアもしています。

自己管理をしていただきながら、妊婦健診でさらに体調がよくなり、出産が近づくにつれ、むしろ恥骨痛も、腰痛も、便秘も良くなっていくような体を目標にしています。そのためには、交感神経と副交感神経がうまく働くよう自己管理して、体を作っていくことが大切です。自己管理は、初めて聞くと、大変そうに感じる方も多いようですが、それをすることにより体調が良くなっていくのを感じることができるので、どんどんやりたくなると話す妊婦さんも多くいます。

先に述べたような、マイナートラブルを起こす原因は、自律神経の失調であるということも数多く言われていますのでマイナートラブルが少しでも軽減すると言うことは、自律神経の調整ができてきているといっても過言ではないのではないでしょうか。ある学位論文でしたが、妊娠後半には妊婦は常に交感神経が緊張していて容易にストレス状態に陥りやすく、一度ストレスにさらされると回復にも時間がかかると言う特徴があった。と言うものがありました。ですが、分娩前5~7日および分娩前1日に副交感神経が優位になるという事も証明されています。夜にお産が多いのもこれが関係している。とその論文には書かれていました。余談ですが、予定日近くなってお産が近づいた時に、妙に眠くなったと言う経験をした方も多いと思います。

以上から考えても、自律神経を整え、必要に応じて、交感神経と副交感神経のスイッチができる体つくりは妊娠中快適に過ごす、と言うだけでなく、安産に結びつくのではないかと考え、妊娠中の体つくりには欠かせないものだと思って実践しています。

(2009年5月15日)

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