お産とツボ

助産師  小林 昌代

温灸

お産が始まってから、お産の進みをスムーズにするために、助産院で温灸やお灸をすることがあります。温灸とはお灸によるやけどや、熱すぎるなどのデメリットを改善したもので、もぐさに直接火をつけなくても、じんわり温かい刺激が2時間から3時間程度持続してツボを刺激すると言うものと、直接もぐさに火をつけて皮膚にのせるというのではなく、皮膚よりも少し離れたところから火をつけたもぐさなどで、ツボに熱を加えるというものがあります。温灸は火によるやけどなどは防げるのですが、逆に低温やけどをしてしまうこともあります。

お灸とはもぐさに直接火をつけてツボに据えることでツボ刺激をします。現在では、もぐさをひねって直接皮膚に据えるということをしなくても、やけどをしないように工夫されているものもあります。若草助産院では、主に温灸を使用しています。本来お灸は灸師でなくてはできないので、助産師が治療としてお灸を利用することはありません。お産が始まったら、主に、次りょう、肩井、三陰交というツボに刺激をしていきます。手で暖めることもあれば、アロマオイルで擦ることもあります。

また、イトオテルミーや、ビワの葉温灸などで温熱刺激することもあります。そうすると陣痛が順調に強くなり、それにあわせて子宮口も柔らかくなって、元気な赤ちゃんを生み出せるという具合です。お産後も三陰交などの刺激は出血を防ぐと言われていて、胎盤が排出されてからさらに刺激を加えていくと、出血予防にも役立ちます。

お産とツボ

ツボの面白いところは、妊婦さんの、その時々の状態に応じて効果が変化すると言う点です。例えば、先程お話しました、次りょうは陣痛のはじめは和痛(痛みを和らげる)に効果がありますが、陣痛がだんだん強くなっていくと、陣痛促進作用に変っていきます。ここのツボは、私もよく刺激しますが、陣痛の間隔が長くて次の陣痛が来るまで少し時間がかかるという場合に次りょうを押すと痛みが襲ってきます。経産婦さんの陣痛中に、私がそこのツボを刺激していたら、「そこ押さないで!」と言われたこともあるくらい効果のあるツボです。

実際には、ツボだけでなくその方の陣痛の具合や、潮の満ち干き、精神状態などをあわせて必要であれば使用していくという程度ですが、その効果にはいつも驚かされています。とはいえ、いきなりお灸をすればいいということでもなく、やはり、妊娠中から体が冷えないように気をつけて生活したり、健康でいられるように日々の生活を心掛けて体を作っていたりするからこそ、このような驚きの効果を発揮していると考えています。健康であることこそが、お産の本当のツボなのかもしれません

(2007年6月18日)

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